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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2012年3月17日(土)
会 場 国立西洋美術館 
会 期 2012年3月6日(火)~ 2012年5月20日(日)
入場料 一般1300円 大学生1000円 高校生600円
図版 2300円

ユベール・ロベールは18世紀フランスの画家。ウィキペディア日本語版では彼の名前が出てこない。日本では、ほとんど彼の名は知られていいないと言ってもいい。私もこの展覧会まで知らなかった。聞きなれない彼の名だったが、18世紀フランスの画家というだけで、見に行くには十分だ。

3月半ば過ぎというのに雨が冷たい。さすがに人影もまばらでゆっくり観賞する事ができた。

今回の展示は、フランスのヴァランス美術館改修工事中なので貸し出してもらったらしい。このところ海外から良い作品がたくさん日本にやってくるけれど、その背景には、海外の美術館の改装工事があるようだ。工事をするとなれば、展示品は当然どこかに移さねばならない。倉庫を借り管理するのも大変だ。重要な作品であればなおさらの事。入館料も取れず、更に管理のコストがかかるとなれば、美術館としては大変。建物改修時には、作品をよそに貸し出すというのは、一石二鳥。更に、日本は世界一作品を丁寧に扱って、貸出料もたくさん払ってくれる、超優良な貸出場所なんだろうなあ。
ということで、今年は次々と有名絵画が日本にやってくると言うわけか。有難いなあ・・・。

さて、今回の展示物は赤チョークで描かれた素描が中心なのだが、この赤チョークと言うのが何ともやわらかくて心地よい。18世紀絵画特有のちょっと夢見るような柔らかく甘美な空気が気持ちをいやしてくれる。

展示の一番最初の絵が、ヴィジェ・ルブラン夫人が描いた彼の肖像を模写したものという作品だったのだが、見るからにエネルギッシュなおじさん。ブージェもなかなかのエロかっこいいおじさんだったが、ユベール・ロベールは実直なおじさんって感じでいいなあ。ブーシェもマルチな才能に恵まれた人だったけれど、ロベールもやっぱりそんな感じだったように思う。当時としては、きちんとした教育を受けた人のようだし。

革命の荒波もしたたかに泳いで、投獄されても皿に絵を書いて看守を通して売ったって言うのだから大したものだ。

18世紀フランスに興味がある人には、絵だけでなくいろいろな人物の相関関係なども楽しめるかもしれない。

会期中、常設展の版画室でも18世紀の版画家の企画展をやっている。せっかくなのでぜひそちらもご覧んになることをお勧めします。













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鑑賞日 2012年3月11日(日)
会 場 ザ・ミュージアム
会 期 2011年12月23日(金)~ 2012年3月14日(水)
入場料 一般1500円 大・高校生1000円 小中学生700円

17世紀のオランダの画家フェルメール。現存する作品の少なさや、精緻で静謐な画面は熱狂的なファンが多いそうだが、会期最後の日曜日、開場30分前から40人から50人の列ができていたのだから凄い。といいつつ、私もその列に加わっていたのだが・・・。前日娘が見に行って、凄い混雑だったと聞いていたので、眠い目をこすりながら出かけていった。会場15分前にはすでに100人ほどが並んで、美術館側も15分前に開場の措置をとってくれた。姉から運よく招待券をもらっていたので、チケット購入の列に並ばずにすみ、入場するや、まずはフェルメール3点が展示されている部屋へ直行。ゆったりと観賞することができた。その後入口へ戻って他の作品を観賞した。大作ならとにかく、フェルメールは小さな作品なので、開場前に並ぶのが必須と言える。

今回はフェルメール作品3点ともが手紙を題材にしている。当時の手紙事情などの解説もあり、当時の風俗と合わせてなかなか興味深かった。

手紙を書いたり読んだりできると言うことが、現代では当たり前のようになっているけれど、字を読んだり書いたりすることが特殊技能だった時代もあった。宗教改革のなかで、聖書を信者が直接読む事が奨励されるようになり、印刷術が普及して、読み書きが一般の人々に普及していったのが17世紀~18世紀なんだと、改めて確認できた。
読み書きという技能が獲得されて、個人的な心情を文字によって伝達する事が可能になったんですね。18世紀になんで書簡体の小説が流行ったのかなあ・・・と思ったのだが、なるほど、今でいえば、携帯小説みたいなノリだったのかもしれない。それにしても、17世紀にすでに文例集なんかが出版されていて、体のいいお断り文章などは、今とまったく変わらないんだなあ・・・と思ってしまった。

王侯貴族の絢爛豪華な生活を描いた物と違って、豊かな市民の生活や庶民の生活を描いたオランダの絵は、親しみやすいと言えるけれど、正直、地味だなあと思う。

食べ物もそうだけれど、薄味で健康的な食事ばかりだと、ときどきものすごくジャンクで健康に悪そうなものも食べたくなる。人間ってつくづく贅沢なのかもしれない・・・。




鑑賞日 2012年2月11日(土)
会 場 横浜美術館
会 期 2011年12月17日(土)~ 2012年3月18日(日)
入場料 一般1100円、大高生700円 中学生100円 小学生以下無料
図版 3000円

現代日本画家のなかでも今一番注目されている松井さんの個展です。ご本人があまりに美人で、描かれている主題がかなり特殊なのでそのギャップにくらくらしそうです。今日は15時から講演会があるというので、1時間半くらい前に会場に行ったのですが、用意された240席+立ち見席はすでに満席。残念ながら、講演を聞く事はかないませんでした。

今日は娘と一緒に出かけたのですが、二人ともそのあまりのエネルギーにあてられてしまったようです。帰りはどっと疲れてしまいました。

「絵にはエネルギーをもらえる絵と、吸い取られる絵がある。松井冬子さんの絵は、後者だね。」と娘。

確かに!以前横山大観の大回顧展を見に行ったときにも感じましたが、絵から発散されるオーラにねじ伏せられるって感じで、絵の前に居ると眩暈のようなものまで感じてしまいました。

彼女が描くものがこの後どう変わっていくのか、10年後、20年後、彼女の作品がどのように評価されていくのか、とても興味があります。

彼女の作品を好き嫌いで分類するのはとても難しいです。一時にたくさん見るのもちょっとしんどいかもしれません。

ちょっと疑問に思った事、長い髪の毛を描くことに執着されているようなのに、自画像の髪は描かれていないのでしょうか?
不思議だなあ・・・・。






鑑賞日 2011年12月17日(土)
会 場 埼玉県立近代美術館
会 期 2011年11月12日(土)~ 2月5日(日)
入場料 一般1100円、大高生880円

仲良しの会社の同僚が、埼玉県立美術館でアートガイドのボランティアをしている関係で、招待券をいただいた。20世紀初頭に活躍したフランスの画家というのだけれど、あまり名前を聞いた事が無かった。いただいたチラシに「薔薇と月夜を愛した画家」というキャッチフレーズがあって、掲載されている作品がとても私好みなので、いそいそと見に行った。

今回の展覧会は、長野のメルシャン美術館から、埼玉県立近代美術館⇒美術館「えき」KYOTO⇒東京新宿の損保ジャパン美術館⇒ひろしま美術館と巡回するそうだ。

いろいろな美術展を見て回り、たくさんの作品に向き合ってきたが、自分の家に置きたいと心底に思う絵はそう多くない。金銭的・物理的に不可能ということもあるけれど、自分の生活空間の中においておきたいと思える絵は、そう多くない。

この絵を自分のものにできたらなんて素敵だろう・・・。「月明かりのテラス」と題された絵は、本当に美しかった。月光が降り注ぐテラスに落とされた街路樹の淡い影、遠くにかすむ対岸の山影、銀色に輝くさざ波立つ水面。しんと静まりかえりながら、優しく包み込むような夜の空気が画面に満ちていた。

作家のひりひりするような自我の表出である作品にも魅力を感じるが、絵画との出会いそのものが、やわらかく暖かな世界だった私にとって、一番しっくりくるのは、やはり温もりや穏やかさを感じさせてくれる作品のようだ。

アンリ・ル・シダネルの名は、むしろ彼の存命中の時の方が、日本では有名だったそうだ。彼が亡くなった直後、第二次大戦がはじまり、戦後の絵画史の大きな流れの陰に彼の名は埋もれてしまう。

正に激動という言葉がふさわしい時代の中で、彼の描く世界はあまりに繊細で、穏やかで、優しすぎたのだろうか。

再び時代が大きく変わろうとしている今年、この画家を再発見するような展覧会が企画された不思議を思わずにいられない。

穏やかで静かな日常を包み込む、優しい街角の景色ややわらかな光に満たされた室内。何気ない日常の温もりを映し出した絵から与えられる安らぎに、慰められたような気がしました。

お近くに巡回した際には、ぜひご覧に行かれる事をお勧めします。


鑑賞日 2011年12月10日(土)
会 場 損保ジャパン東郷青児美術館
会 期 2011年11月23日(水)~ 12月27日(火)
入場料 一般1000円、大学高校生600円 中学生以下無料
図 版 2000円

4月に開催される予定だったこの展覧会だが、震災の影響で延期されての開催。

広告で、「アルプスの画家」とうたっているので、スイス人の画家なのかと思ったら、生まれはイタリアの人だった。日本は島国なので、外国との交流は海を越えなければできないが、ヨーロッパは地続きなので、簡単に外国に行くことができる。生まれがイタリアで、フランス絵画の影響を受け、スイスに画題を求めるなんてことも全く自然なことなのかもしれない。

このところずっと、仕事が忙しく、心がささくれだっていたような気がするが、セガンティーニの絵を見て、すうっと気持ちが軽くなったような気がした。静かで温かな絵は、確かな技術に支えられてのものなのだろう。くっきりとした高原の空気感が存分に描き出されているように思う。

特に気にいった絵は、雌牛の頭部を描いた小さな作品。なんということのない絵なのだが、斜め後ろから描かれた雌牛の鼻先が柔らかく光っていて何故だかはわからないけれど、とても心魅かれた。小さな作品だし、有名な絵でもないので、絵ハガキも当然なし。欲しかったなあ・・・・。












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