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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2011年12月17日(土)
会 場 埼玉県立近代美術館
会 期 2011年11月12日(土)~ 2月5日(日)
入場料 一般1100円、大高生880円

仲良しの会社の同僚が、埼玉県立美術館でアートガイドのボランティアをしている関係で、招待券をいただいた。20世紀初頭に活躍したフランスの画家というのだけれど、あまり名前を聞いた事が無かった。いただいたチラシに「薔薇と月夜を愛した画家」というキャッチフレーズがあって、掲載されている作品がとても私好みなので、いそいそと見に行った。

今回の展覧会は、長野のメルシャン美術館から、埼玉県立近代美術館⇒美術館「えき」KYOTO⇒東京新宿の損保ジャパン美術館⇒ひろしま美術館と巡回するそうだ。

いろいろな美術展を見て回り、たくさんの作品に向き合ってきたが、自分の家に置きたいと心底に思う絵はそう多くない。金銭的・物理的に不可能ということもあるけれど、自分の生活空間の中においておきたいと思える絵は、そう多くない。

この絵を自分のものにできたらなんて素敵だろう・・・。「月明かりのテラス」と題された絵は、本当に美しかった。月光が降り注ぐテラスに落とされた街路樹の淡い影、遠くにかすむ対岸の山影、銀色に輝くさざ波立つ水面。しんと静まりかえりながら、優しく包み込むような夜の空気が画面に満ちていた。

作家のひりひりするような自我の表出である作品にも魅力を感じるが、絵画との出会いそのものが、やわらかく暖かな世界だった私にとって、一番しっくりくるのは、やはり温もりや穏やかさを感じさせてくれる作品のようだ。

アンリ・ル・シダネルの名は、むしろ彼の存命中の時の方が、日本では有名だったそうだ。彼が亡くなった直後、第二次大戦がはじまり、戦後の絵画史の大きな流れの陰に彼の名は埋もれてしまう。

正に激動という言葉がふさわしい時代の中で、彼の描く世界はあまりに繊細で、穏やかで、優しすぎたのだろうか。

再び時代が大きく変わろうとしている今年、この画家を再発見するような展覧会が企画された不思議を思わずにいられない。

穏やかで静かな日常を包み込む、優しい街角の景色ややわらかな光に満たされた室内。何気ない日常の温もりを映し出した絵から与えられる安らぎに、慰められたような気がしました。

お近くに巡回した際には、ぜひご覧に行かれる事をお勧めします。


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