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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2012年4月1日(日)
会 場 東京国立博物館 平成館
会 期 2012年3月20日(火)~ 2012年6月10日(日)
入場料 一般1500円 大学生1200円 高校生900円

ボストン美術館が収蔵する日本美術の名品約90点が里帰りしてきました。同じ上野公園内にある国立西洋美術館には、松方コレクションを基礎とした、西洋美術の歴史を俯瞰できる収蔵品がありますが、考えてみれば、日本に居ながらにして、本物の西洋美術の優れた作品に触れる事ができるのは、すごい事だと思うのです。同じように、ボストン美術館には、日本美術の歴史を網羅した素晴らしいコレクションがある。アメリカの人々が、ボストンで、日本美術の歴史をたどり、優れた作品に触れる事ができるというのは、とても素晴らしいことではないかと思います。

明治維新後、廃仏希釈運動や権力構造の変化で、それまで美術品を守ってきた寺社仏閣や武士階級が衰退し
、維持管理が出来なくなっていたという背景もあったでしょう。19世紀後半のジャポニズムの流行も後押ししたかもしれません。日本にあれば確実に重要文化財、国宝に指定されるような名品の数々が、海を渡って行きました。日本が産みだした名品が、日本にないという現実に、寂しさを感じる一方、作品が海外に渡ったからこそ、日本文化の独自性と素晴らしさを海外に広く知ってもらう事ができたのではないかとも思います。

今回里帰りした作品はどれも素晴らしいものばかり。特に、仏画は感動的です。線ののびやかさ、彩色や截金の緻密さには息をのむばかりです。目玉の二大絵巻もその生き生きとした描写に改めて驚かされます。西洋画とは別のリアリティと迫力に思わず目はくぎ付けになってしまいました。刀剣の一切無駄のないフォルム、衣装の斬新な意匠。全てが私達の祖先が産みだした素晴らしい美です。そして、その美意識は確かに現在の私達にも受け継がれているはずの物。

日本人は、あまりに身近にありすぎて、日本の美に気付く事もないかもしれません。四季折々の自然の美しさは格別であり、その中から日本人が育てあげた意匠の素晴らしさにもっと目を向け、評価していくべきです。里帰りしてきた作品の素晴らしさを堪能する一方、日本の美を守り発展させていくのは、今生きる私達なのだと強く思いました。







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