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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2011年6月11日(土)
会 場 東京都庭園美術館
会 期 2011年4月16日(土)~ 7月3日(日)
入場料 一般1000円、大学生800円 高校生以下500円
図 版 2500円

私が大学生だった頃は、丁度バブル景気が始まろうとしている頃だった。その当時の美術展は、「○○美術名品展」とか「○○博物館名宝展」のようなものが多かった。海外旅行はまだまだ庶民には高値の花で、直接海外に絵を見に行くことなどはおいそれとできなかったから、どんな展覧会であっても、とにかくよく通った。交通費が惜しくて最低2つ、多い時は3つぐらい梯子して見たものだった。とにかく実際に作品を見なければ始まらないからだ。乏しい小遣いをやりくりして、見に行った展覧会の半券は今も大切にアルバムにとってある。50枚くらいはあるだろうか。
就職して1年後には結婚、翌年には子供が生まれ、それからずっと仕事と家事と育児に追われ、下の子供が中学校に入るまでの15年間、展覧会に足を運ぶことはほとんどなかった。

その間にバブル景気はまさにアワのごとくはじけ、平成大不況に突入し、有名デパートにあった美術館は次々に閉鎖されてしまった。しかし、バブル期に金にものを言わせて世界中の名品を日本に持ってきて、日本人の美術を見る目が鍛えられたおかげが知らないけれど、私が学生の頃よりも美術展はずっと面白くなっていると思う。

今回の「森と芸術」もとても面白い企画だった。時代や地域でくくるのではなく、芸術のなかに表現された「森」と「人間」の関係を見て行こうという企画。8つのテーマで油彩画・版画・写真・工芸品・出版物と様々な時代・いろいろな媒体で表現された作品の中に描かれた森の姿を楽しむ事ができる。200点以上の作品が出品されていたが、それぞれに個性的な作品が多く興味深くもあった。

今回の展示で特に気にいったのは絵本展示。将来孫が生まれたら、こんな絵本を見みせてやれたら楽しかろうとおもった。田舎育ちの私にとって、緑は常に身近なもので、それだけに、様々な森も表現はとても親しく楽しく鑑賞できた。

あいにくの雨だったが、しっとりと濡れた庭園の緑はとても美しく、展示とあいまって心和む時間を過ごすことができた。



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鑑賞日 2011年5月29日(日)
会 場 ザ・ミュージアム
会 期 2011年5月29日(日)~ 2011年7月3日(日)
入場料 一般1400円 大・高校生1000円 小中学生700円

台風接近に伴う雨が降りしきる中、展覧会初日に朝から出かけて行きました。ばらの画家とも評される彼の場合、普通の美術愛好家の他に、ばら愛好家も楽しみにしていたらしく、雨振りにも関わらずチケット売り場には行列ができていました。

ルドゥーテの展覧会はこれで2回目。前回も同じザ・ミュージアムで「ばら図譜」をテーマにしたものでした。今回は、植物画家としての彼の業績を初期から晩年に至るまで見せてくれています。

17世紀、北方絵画において花を主題とした静物画が多く描かれています。それらの絵はとても精密で美しいものです。ベルギーの画家一家に生まれた彼も、その伝統を学びながら絵の技術を身につけていったのでしょうが、彼が描く花や植物は17世紀の静物画とはまったく異なる印象をあたえます。17世紀の絵は美しいけれど、どこかよそよそしく生気に欠けています。花の静物画が「虚栄」を表す宗教的なテーマとして描かれていたからかもしれません。ルドゥーテのそれは、命に対する尊敬と讃美に満ちています。

彼の伝記によると、宗教画や肖像画を巧みに描く確かな技術を持っていたようです。しかし、彼の興味はもっぱら花や植物に向かっていたようです。伝記では彼には社交の才能があって、それによって彼が世俗的なチャンスをものにしたかのように書かれていましたが、なんとなくそれは違うような気がします。

フランソワ・ジェラールが描いた彼の肖像画を見ると、彼は何か自分の利害の為に知恵が回るような感じには見えません。暖かな茶色の目はちゃめっけを秘めていて、少し受け口気味な口元は甘え上手な印象、少しひそめられた眉には繊細さと注意深さが表れているように見えます。この手の人は、社交上手というより、その人柄が周囲の援助の手を自然に引き寄せるのだと思います。ついつい助けてやりたくなってしまう人っているじゃないですか。正にそのタイプだと思います。

もちろん、彼の仕事がいい加減なものであれば、人々の援助の手は離れていってしまったかもしれません。しかし。花や植物に対する彼自身の深い執着と愛情は、花を愛する人をより深く惹きつけたのでしょう。

彼の描く花々には「花格」というか、人間のように性格づけがされているように感じます。凛とした花、やわやわとうなだれる花、元気いっぱいの花、傲慢とも思えるほどに艶やかさを主張する花・・・・・。彼は植物と話ができて、花達がどう描いて欲しがっているのかを感じ取り、一番その花が美しくその花らしく見えるポーズで描いているように見えるのです。

今回羊皮紙に描かれた彼の肉筆水彩画が6点出品されていました。羊皮紙は紙のように水を吸わないので発色が鮮やかな一方、扱いがとても難しいのだそうです。羊皮紙の白に浮かび上がる花の姿のなんと鮮やかで優しいことでしょう。彼の原画から起こされた印刷作品も素晴らしいのですが、彼の肉筆画からは、比べ物にならないくらい強い力を感じました。絵から優しさと喜びがあふれ出ているのです。

残業続きで疲れていたのですが、美しい花や植物の姿に癒されました。絵は見るだけでいいと思っていましたが、彼の肉筆画は欲しいと思いました。この絵を身近において毎日眺められたら幸せだろうなあ・・・・と。複製なら手に入るんでしょうけどね、複製じゃなくて、肉筆画が欲しいんですよ。精巧な複製で15000円くらいですから、本物っていったいいくらするんでしょうねえ・・・・。

ばら好きの方、花好きの方、植物好きな方にはぜひお勧めしたい展覧会です。とにかく癒されます。

鑑賞日 2011年5月14日(土)
会 場 東京都写真美術館  
会 期 2011年3月26日(土)~2011年5月15日(日)
入場料 一般900円、大学生800円 中・高校生700円 

週刊誌でこの展覧会の事が紹介されていて、絶対見に行こうと思っていました。そもそも、絵を見るときも、映画を見るときも、小説などでも女性が描かれているものが好きです。自分が女性だし、女子高・女子大育ちですから、いろんな女性の姿を知っています。その分、女性の魅力についての感受性は高いけれど、男性はあまりなじみもないし、あんまり魅力的に思えないんですよね。

この展覧会は美しい女性が本当にいろんな姿でいろんな魅力を見せてくれていて、うっとりでした。女性写真家だからこそ、切りとれる、引き出せつ、作り上げられる、女性の美しさなんでしょうねえ。まあ、それにしても、人間ってどうしてこんなにいろんな表情を出せるのでしょう。

写真と絵画作品はよく比較されるけれど、それぞれの味わいもあるし、相互に影響を与えあっているのでしょうね。今回の作品を見ていても、構図が絵画作品を思い出させるようなものもありましたし、写真だからこ存在感というのも感じられました。

東京都写真美術館に行ったのは初めてですが、ショップも面白いものを置いてあったし、写真展もなかなか面白いものなのだとわかったので、また面白そうな企画があったら、行ってみようと思います。
    
鑑賞日 2011年4月30日(土)
会 場 国立西洋美術館  
会 期 2011年3月12日(土)~2011年6月12日(日)
入場料 一般1400円、大学生1100円 高校生600円 
    中学生以下無料
図 版 2300円


GW入りして天気も上々。午前11時の上野駅は家族連れでいっぱいです。そうです、上野動物園に再びパンダがやってきたのです。でも、私の目的は同じ白黒でも、レンブラントの「版画」の方です。

レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は、言わずと知れた17世紀オランダを代表する画家です。レンブラントの陰影表現は、日本人にとってとても心地よいものなのでしょうか。愛好家がとても多いようです。今回の展覧会は油彩15点、版画110点という構成。版画展は普通そんなに混まないのですが、今回は入場者の幅の広さ・人数にちょっと驚きました。GWという事もあるのだと思うのですが、普段の展覧会ではあまり見かけない層の方がたくさんいらっしゃいました。

今回の企画はとても興味深いものでした。レンブラントが日本の和紙を使用していた事に注目し、さまざまな紙を使用して摺られた同じ作品を比較できるようになっています。また、同じ原版が版を重ねる中で手が加えられ変化していくところも並べられ比較されています。

レンブラントの版画は結構いろんな展覧会で見てきましたが、これだけの量を一度に見ると、今までわからなかった作品の魅力というものが見えてきます。

今回改めて感じたのは、レンブラントの作品は300年以上も前の作品なのに、とてもみずみずしく古びていないということ。そして、和紙という素材の墨との相性の良さ。同じ版から摺られた作品なのに、和紙に刷られた黒のなんと味わい深い事か!ビロードのような黒と表現されるにふさわしい有機的な黒。

闇に濃淡がある事を善光寺の戒壇巡りを知りました。光がないのだから、単調な黒にすぎないはずと思っていました。しかし、違うのです。人の感覚は闇にも様々な表情がある事を捕えられるのです。

レンブラントの作品の魅惑的な光と闇。そこに我々の祖先が作った和紙が力を与えている事を知り非常に感慨深く観賞することができました。

常設展の版画展示室で「奇想の自然-レンブラント以前の北方版画」も同時開催中。こちらもなかなか面白いです。イタリアの感覚とはまた違う北方版画の魅力を一層深く味わえると思います。

鑑賞日 2011年4月9日(土)
会 場 ザ・ミュージアム
会 期 2011年3月3日(木)~ 2011年5月22日(日)
入場料 一般1500円 大・高校生1000円 小中学生 700円

フェルメールの現存する真筆作品はとても少なく、世界中に散らばる作品全部を見るために巡礼者のようにめぐる事をライフワークにする人がいるという。そういう人から見ると、日本に居ながらフェルメールの作品の方がやってきてくれるというのは、なんとも有難いことなのではないだろうか。

ここ数年の間に、数点の作品が日本にやってきた。熱狂的なフェルメールファンなわけではないけれど、わざわざ海の向こうからやってきているのだから見にいかないと損だという気持ちが働いてしまうのはいなめない。

海外からある程度以上の水準と点数を持ってくる時に良くあるのが、その作品を収蔵している美術館の建て替えや改修といった場合だ。
今回も、所蔵している美術館が改築するのだという。作品を貸し出すことで、貸出料を稼げるし、保管しておくコストも削減できる。まさに一石2鳥と言える。特に日本は作品の扱いは丁寧だし、場合によっては、作品の調査や修復に協賛がついたりする。海外の美術館にとっては上顧客といっていいだろう。

今回の大震災で、横浜美術館が開く予定だったプーシキン美術館展が取りやめになった。今後もしばらくは有名作品を日本に持ってくることは難しくなるのではないだろうか。ザ・ミュージアムで次回に予定されていたルドゥーテの肉筆画展も、印刷作品の展示へと変更された。貸し出す側からすれば、リスクを冒したくないのは当然だろう。こんなところにも震災の影響が出るのだ・・・・。


フェルメールの作品で男性の単身像は2点しかなく、そのうちの1点が今回の目玉「地理学者」なのだそうだが、どうもこの作品の人物に惹かれない。室内の描写はとても魅力的と思うのだが、どうもこの人物の顔の印象が薄いのだ。まるで、そこだけ修復し損ねて絵具まで落としてしまったような印象を受ける。失礼ないい方だとは思うが、描く対象として画家は興味なかったのかしら?とと言うのが正直な感想だ。

展示された作品はなかなか良かったです。フランドル絵画は精密な描写が魅力的です。裕福な市民社会を反映した肖像画や風俗画、静物画や風景画は惹きこまれるような力があります。特に今回ロイスダールが6点きていました。ロイスダールはやっぱりいいです。構図がぴたっと決まっていいて画面が生き生きしているんです。風景に生気を感じるといういい方はおかしいかもしれませんが、空気が動いているように感じるんです。

フェルメールの目玉作品にひかれて行っても、他の作品も十分楽しめるものだと思います。





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