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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2010年9月26日(日)
会 場 東京都庭園美術館
会 期 2010年9月18日(土)~ 11月28日(日)
入場料 一般1000円、大学生800円 高校生以下500円
図 版 2700円

古代から現代にいたるまでの香水瓶の歴史を一望できる展覧会です。アールデコ様式の旧朝香宮邸にぴったりの展覧会だと思いました。

中に入るとほんわりと甘い香りが漂っていました。ガラス、軟玉、陶器、磁器、香りを閉じ込める為に作られた美しい小さな容器たち。18世紀フリークの私は特にその時代につくられた香水瓶に興味があったので、じっくり見てきました。小さなガラス瓶を細かい唐草で覆ったものや可憐な林檎の花をかたどった磁器のものなど、繊細な細工の瓶から香水をつけていたのはどんな女性達だったのだろう?としばしトリップしてしまいました。


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鑑賞日 2010年9月26日(日)
会 場 東京国立近代美術館
会 期 2010年9月7日(火)~ 10月17日(金)
入場料 一般1300円、大学生900円 高校生400円 中学生以下無料


上村松園は日本画壇に燦然たる功績を残した画家です。その力たるや近代美人画の大家鏑木清方をして「松園の作品は自らの目標であり、裏返しても見たいほどの欲望にかられた」と語るほど。
12歳で日本で初めて開校された画学校に入学したものの、そのカリキュラムに飽き足らず翌年退学、鈴木松年に師事します。15歳で第3回内国勧業博覧会に「四季美人図」を出品、この作品は来日中のヴィクトリア女王の三男が買いあげて話題になったといいます。この時代、女性が画業を極める事は、大変スキャンダラスな事でした。松園の母は一貫して娘を支え続けます。それがどれほど困難であったかは想像に難くありません。才能溢れる松園を他の画家達は嫉妬し憎しみをぶつけたそうです。それでも、絵を描き続け、松園は73歳の時、女性で初めて文化勲章を受章しました。

今回の展覧会は17歳から晩年に至るまでの松園の作品約100点を三部構成で展示しています。

「何ものにも犯されない女性の内に潜む強い意志をこの絵に表現したかった。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵こそ、私の念願するものなのです」と松園自らが語ったように、彼女の描く女性達は本当に美しく、このような女性になりたいと思うような絵なのです。やまと絵や浮世絵の伝統に学びながら、更に生き生きとした女性達の佇まいは本当に心が洗われるようでした。

その中で、異色を放つ絵がありました。「焔」と「花がたみ」です。
「焔」は源氏物語の「葵上」の六条の御息所が画題です。何たる迫真でしょうか!嫉妬の炎に狂いながら、壮絶なまでに美しい御息所。藤の花房に蜘蛛の巣模様の袖が不自然なまでにピンと左右に張っている様は、御息所の捨てきれないプライドの高さを感じさせます。
この絵の前では大の男も女の情念の深さにビビるでしょうねえ。

「花がたみ」は謡曲「花筐」の「照日前」が画題です。まだ皇子だった継体天皇の愛し合ったものの、天皇に即位が決まり、手紙と花筐を渡されて捨てられた照日前。恋しい人を追って上京した照日の前は紅葉狩りに行幸した天皇と巡り合います。天皇は、照日前に狂って見せよと命じ、照日前は御前で狂人の舞を舞います。展覧会ではこの絵の構想を練った素描が展示されています。松園がこの題材を練り上げていく過程が見えてとても興味深いです。
狂気に囚われた照日前の目虚ろな目つきと口元が片側だけひきつりあがっているところがものすごく怖い。それでもなお美しいのです。これらの絵が描かれた時、松園は人生の大きな岐路に立っていたようです。女性ゆえの情念を描く事によって、松園は何かを乗り越えていったのでしょうか?

松園の代表作のひとつ「序の舞」は展示替えの後期出品ということで見られませんでしたが、この2作を見られて良かったです。



鑑賞日 2010年9月18日(土)
会 場 横浜美術館
会 期 2010年9月18日(土)~ 12月31日(金)
入場料 一般1500円、大高生1200円 中学生600円 小学生以下無料
図 版 2200円

日本国内でこれだけの規模の回顧展が開かれるのは21年ぶりの事だそうだ。代表作のひとつ「エトワール」が日本で初公開される。
開催記念イベントとして、オルセー美術館の学芸員フリップ・ソニエ氏の講演もあると言うので、初日からいそいそと出かけてみた。正直いって、今までドガの作品をまとめてみたことがなかった。今年に入り、いろいろな展覧会で作品を見たり、講演を聞いたりして印象派に触れる機会が多かったので、ドガの初期から晩年の作品の流れを見ることができて、非常によかった。印象派とひとくくりにされがちだけれども、印象派の画家たちもそれぞれ強い独自性を持っている事が、だんだんわかるようになってきた。

今回の展覧会は第一章 古典主義からの出発 第二章 実験と革新の時代 第三章 綜合とさらなる展開 という三部構成になっている。

一般にドガの作品として有名なのは、踊り子を描いたパステル画だから、第一章の作品を見た時とても驚いた。ドガってこんなにデッサンがうまかったのか!!エコール・ド・ボザールでアングルの弟子に師事し、アングル自身にも会ってアドバイスを受けているというのだから、当然なのかも知れないけれど。第一章は、彼が描いた肖像画が中心なのだが、ここではほとんど印象派と言う感じがしない。

第二章では彼が取り組んだ都会の日常生活を描いた作品が並ぶ。初公開の「エトワール」は独立したスペースが設けられ、別格扱いになっている。この作品は本当に素晴らしかった!この1枚を見るだけでも横浜まで足を伸ばした甲斐があると思える。この輝くような画面は図版では決して味わえない。どうやってドガはこの絵を描いたのだろう?本当に絵が自ら発光しているような感じなのだ。

第三章は彼が取り組んだ浴女のテーマと風景画、彼が撮影した写真、晩年視力を失なった後も作り続けた塑造などが展示されている。この章での見どころはやはり第8回印象派展に出品された「浴盤」。金盥にうずくまる裸婦のパステル画なのだが、すごく肌あいが美しい。図版だと平板に見えるのに、実物は本当にリアリティを感じる。それにしても、どうしてドガは背中と臀部ばっかり描いたんだろうか?

ドガの作品をこれだけの量と質で見られたのはとてもよかった。年内いっぱい開催予定なので、印象派がお好きな方は絶対お勧めです!

鑑賞日 2010年8月7日(土)
会 場 東京オペラシティアートギャラリー
会 期 2010年7月28日(水)~ 10月3日(日)
入場料 一般1000円、大高生800円  小中学生600円

東京オペラシティーを訪れるのは初めて。都営新宿線初台駅からすぐ。こじんまりとした展示室だが、清潔感があり好ましい。土曜日だがあまり混んでおらずゆっくり鑑賞することができました。

ベルギーのアントワープ王立美術館蔵の19世紀半ばから20世紀半ばのベルギー絵画を紹介する展覧会です
ベルギー絵画関連の展覧会もこれで3回目。だんだんベルギー絵画の傾向っていうのも見えてきますね。ベルギーの建国自体が19世紀なのでベルギー絵画となると近現代になってしまいますが、営々とヨーロッパ文化の一翼を担ってきた地域ですからなかなか奥深いものがあります。映画を見て、さんざんおしゃべりをした後に見たので、ちょっとまったり気分でしたねえ。
マグリットの絵が3点あって、やっぱり良かったです。マグリットすきなんです。シュルレアリスムの作家のなかで、マグリットが一番好きかもしれません。

同時開催で収蔵品展もやっていました。のんびり過ごせてよかったです。

鑑賞日 2010年7月31日(土)
会 場 横浜美術館
会 期 2010年7月2日(金)~ 9月4日(土)
入場料 一般1300円、大高生800円 中学生400円 小学生以下無料
図 版 2000円

印象派とエコール・ド・パリの名品74点が出品されている。これらはポーラ化粧品二代目鈴木常司氏(1930-2000)が40年をかけて収集したコレクションであり、現在箱根仙石原のポーラ美術館に収蔵されている。

第1回印象派展が1874年に開催されてからすでに136年、印象派の作品は今や「前衛」ではなく、「古典」の仲間入りをしようとしている。何しろ明治政府の誕生が1868年なのである。印象派展が開かれたのが明治7年だから、すでに「古典」と言われてもなんの不思議もない。

今や絵画の歴史の本流と目されている「印象派」だが、19世紀当時は亜流にすぎなかった。では、本流はどんな絵画だったのか?昨年同じく横浜美術館で開催された「19世紀フランス絵画展」にみるように、アカデミズム絵画だった。フランスでは制作年代ごとに数ヶ所の美術館に収蔵している。1848年(フランス2月革命)から1914年(第1次世界大戦勃発)がオルセー美術館の守備範囲となっている。

アカデミズム絵画と印象派以降の絵画を比べると、明らかに異質である事がわかる。西洋絵画の歴史をたどっていくと、何度か異質なものが交錯する時代がある。ビザンチン様式からルネサンス様式へ、マニエリスムからバロック絵画へ、そして、ロココ・新古典主義(含むアカデミズム)から印象派へ。

この変化を踏まえ印象派以降の絵画表現を考えるとき、「近代的個人の確立」が大きなキーワードとなり、経済活動や社会権力が教会や貴族といった身分制度から解き放たれていった事で生まれてきたものだと言うことがわかる。現代人にとって、「個」であることは当然のことに思われるが、印象派の時代、それはまだ社会の中で認知される途上にあった。印印象派からポスト印象派、エコール・ド・パリという流れは、とりも直さず、社会が近代化する中で、「個人」の感性に価値を置いて行く流れそのものだったと言えると思う。

今回の展覧会では印象派に始まるフランス近代絵画の流れを見渡す事が出来る作品が集められている。恐らく蒐集した鈴木氏の趣味によるものなのだろう。とても上品で質の良い作品ばかりだ。印象派の画家に日本絵画が与えた影響は計り知れないものがある。異質なものとの出会いは変化の大きな原動力となるのだろう。印象派の作品が日本人に愛されるのは、勿論キリスト教や西欧社会が営々と培ってきた文化背景を知らずとも理解できる平明さも一因かもしれないが、構図や色彩の中に、印象派の画家たちが日本や東洋の絵画から学んだものを感じ取れるからなのかもしれない。

今回特に気に入ったのは、ルノワールの「裸婦」、オディロン・ルドンの2作品、マリー・ローランサンの「ヴァランティーヌ・テシエの肖像」レオナール・藤田の「オランダの少女たち」など。

ちょうど夏休み期間でもある。25人74作品というのは子供でも飽きずに楽しめる規模だと思う。ご家族で出かけられてはいかがだろうか?



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