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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2008年8月30日(土)
会 場 国立新美術館 
会 期 2008年7月2日(水)~9月15日(月)
入場料 一般1500円 大学1200円 高校700円
図 版 2300円?


ウィーン美術史美術館所蔵が所蔵するハブスブルグ家のコレクションから静物画を中心とした作品75点が出品されている。

のっけから肉屋の店先のような解体された牛の枝肉の絵からはじまる。
魚だったら活け締めだって踊り食いだってしてしまう日本人だが、さすがに牛の枝肉をなぜ?と思ってしまう。ヨーロッパ人にとって、牛や豚と言うのは日本人にとっての魚と同じで、食べるために殺すのは全くの日常の一部に過ぎない。それがなぜ、絵画に描かれるのか?
静物画という名称は17世紀オランダにはじまるのだそうだ。なぜ、そういったジャンルが一つ独立したものとして成立するようになるのか、また描かれたものに人々は何を理解したのか、そういったものを解き明かそうという意欲的な展示だった。

多分、静物画だけでは人が呼べないと踏んだのか、ベラスケスのマルガリータ王女も目玉として出品されていた。

うーん、確かに、この一点だけでもお金を払う価値があるとは思うが、
静物画の歴史をたどるというというのと、ちょっと方向性がちがうような・・・・・。


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鑑賞日 2008年8月30日(土) 
会 場 国立西洋美術館
会 期 2008年6月14日(土)~2008年8月31日(日)
     神戸市立博物館2008年9月13日(土)~2008年12月7日(日)
入場料 一般1500円 大学生1100円 高校生700円
図 版 2300円?

通常は鑑賞日当日に書くようにしているのだが、ちょっと時間がたってしまった。

コローは玄人好みする画家だ。ルノワールやモネ、シスレー、ピカソやブラックなども、彼の作品を高く評価している。とにかく上手いのだ。しかしながら上手さを主張していない。さりげなく在りながら、涙が出るくらい上手い。それがコローの絵だと思う。
上手いでしょ?と問いかけてくるような作品は好きではない。さりげない風を装いながら実はとてつもなくすごい!!というのがいい。

東京での展覧会は終わってしまったが、神戸ではまだはじまったばかり。
お勧めです。
鑑賞日 2008年9月21日(日)
会 場 損保ジャパン東郷青児美術館
会 期 2008年9月13日(土)11月9日(日)
入場料 1000円 
図 版 2000円 ブックレット500円子供用ブックレット300円

ジョットは大好きな画家の一人だ。時代的にはゴシック期の画家なのだが、時代を先駆けて自然観察にもとづいた肉体表現や感情表現を行ったため、ルネッサンスの作家達に多大な影響を与えた画家なのだ。今回の展示はジョットの作品4点と彼の代表的な壁画作品(アッシジの聖フランチェスコ教会とパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂)の写真パネル、ジョットの後継者達の祭壇画などで構成されている。ほとんどが聖母子像ということで、とても親しみやすい主題の為、宗教画という重みをあまり感じないで鑑賞することができる。

損保ジャパン本社の42階にあるこの美術館はそう大きなスペースがあるわけでなく、今回も出品数的にはあまり多くない。しかしながら、ルネッサンスが花開く100年前の作品を日本で見る機会などそうそうあるものではない。ルネッサンス以降の絵画に目が慣れていると、この時代のものは非常に硬く様式的なものに感じるかも知れない。しかし、ルネッサンスの画家達は、確かにこの時代の画家達から何かを学び取って成長したはずなのだ。そう考えると、また見る視点が変ってくる。この時代より更に前の作品と比べると、やはり人間の描き方が生々しいものに変っていることが見て取れる。例えば、聖母の胸に抱かれるイエスの手の表情などは母と子の自然な仕草を描きだしている。母の指を握るイエスの小さな手は本当に愛らしい。

新宿駅西口から5分といった場所なので、ぜひお買い物ついでにでも足を運んで見てください。

鑑賞日 2008年9月21日(日)
会 場 Bunkamura ザ・ミュージアム
会 期 2008年8月30日(土)~2008年10月26日(日)
    入場料 大人1400円 高校大学生1000円 中学生700円
図 版 2500円 

19世紀イギリスの巨匠ジョン・エヴァレット・ミレイの全貌を紹介するような回顧展が開かれるのは1898年ロイヤル・アカデミーで開かれて以来110年ぶりだそうだ。イギリスから遠く離れた日本で開かれるというのが、なんとも不思議なことのように思われる。

正直いって、私はイギリス絵画にあまり興味関心を持ってこなかった。その為、ミレイについても代表的な作品について見たことはあっても、詳しいことは全く分らなかった。

今回、ポスターに使用されているように、彼の代表作「オフィーリア」はミレイの名を知らなくても、見たことがある人が多いだろう。非常に細密な草花の表現や、水にたゆたい今正に水底に沈もうとする狂気の乙女の表情は、非常に印象的で、一度見たら忘れることができないものだ。

今回の展覧会では、11歳という史上最年少でロイヤル・アカデミー・スクールへの入学を許された天才少年のコンクール初受賞作品の素描から、晩年の幻想的な風景画まで、彼の生涯を網羅した作品構成で非常に見ごたえがあった。

この時代の作家についての知識が乏しすぎるので、あくまでも作品から感じ取ったものの感想にしかならないが、ミレイには「神から贈り物をもらった者」特有の無邪気さを感じる。例えていうなれば、モーツアルトの音楽のような独特の軽やかさとさりげなさ、明るい繊細さを持っているように思われる。
的確なデッサン能力と色彩感覚があるからこそ、下手をすればあざとく俗っぽくなってしまいそうなものも、彼独特の美意識を表現するものとして成立しているように思う。

あまり難しいことを考えるより、素直に美しいと感じられる作品ばかりだと思う。

特に気に入ったのは発表当時不評だったという、《両親の家のキリスト》、《初めての説教》と《二度目の説教》の連作、《ローリーの少年時代》、《聖ステパノ》。

鑑賞日 2008年8月9日(土)
会 場 国立東京博物館 平成館
会 期 2008年7月8日(火)~8月17日(日)
入場料 一般1500円 高学生900円 大学生1200円
図 版 2300円 


近頃美術展がやたらと面白い!学生時代にもかなり美術展を見て回ったが、その頃に比べて、「見せる」という技術が格段に進歩したように感じる。美術館や博物館が独立法人となって、客が呼べなければ、自分達の存在場所が危うくなるという危機感がそうさせたのか、自由裁量の部分が広がり、前例がないからと却下されていたような企画が通るようになったためなのか、はたまた物心付くと同時にTVというメディアに親しんできた世代がいよいよ学問の世界においても中核をなすようになったためなのか、そのあたりは理由を一つに絞る必要はないだろうが、とにかく最近の美術展は企画コンセプトが面白くなってきた。
「対決」と銘打って11組の日本美術史に燦然と輝く巨匠達の代表作を一同に集め、その魅力を比較することによって一層鮮やかに感じ、味わい、楽しんで欲しいという非常に遊び心溢れる企画である。
「国華」(東洋日本美術史研究雑誌)創刊120周年と朝日新聞創刊130周年を記念して開かれたこの展覧会は、国宝、重要文化財を含む100点ほどの展示で、出品数としてはさほど多いわけではない。しかしながら、いままでよく比較対照されてきた作家の作品が、実際に並べて置かれるという夢のような展示なのだ。並べてみるからこそ分かる、似て非なる個性の競演。かつてこんなに胸踊る展示があっただろうか?薄暗い展示室でただ過去の遺物として並べられるのではなく、その時代を生きた人間の強烈な個性の発露を突きつけられたような、新鮮な驚きに満ちた展示だった。その上、音声ガイドがなんと、60年代生まれにはたまらない声優さんたちの競演となっている。たった500円で青春時代に親しんだ声優さんたちの声で解説が聞けるなんて、なんてすばらしい!!絵画オタクで且つアニメオタクでもあった私としては、もう、涙が出るほどうれしい企画だろう。
11組それぞれの対決はどれも面白かったけれど、特に宗達VS光琳は学生時代、教えを受けたY教授の授業を思い出し、ひときわ感慨深かった。宗達研究の第一人者でいらしたY教授は本当に宗達の作品が大好きで、うれしそうにスライドを見ながら技法のことや宗達の作品の独創性や芸術性の高さをお話くださっていた。青春時代の楽しい一こまを、懐かしく思い出す展覧会でもあった。
 会期はあと一週間ほどしかないが、実に楽しい企画展なので、時間が許すのであれば、ぜひ見に行かれることをお勧めします。


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