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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2008年8月2日(土) 
会 場 国立東京博物館 表慶館
会 期 2008年7月1日(火)~2008年8月3日(日)
    入場料 一般1000円 高・大学生700円

日仏交流150 周年記念 オルセー美術館コレクション特別展です。どうやらフランス人は日本に、非常に「憧れ」を感じてきたらしい。19世紀フランスでは「ジャポニズム」が流行し、浮世絵が印象派に与えた影響は非常に強いものだったことはよく知られている。
今回の展示で初めて知ったのだが、北斎や広重の浮世絵や画帳から取られた図案が描かれたテーブルウエアがあったんですね。
なんとも不思議な感じです。洋食器に和柄。鯉やら海老、鶉や鶏、かえるにトンボ・・・。和食器にだって良くある絵柄のはずなのに、どこか違う、何かが違う・・・・。
やっぱり形が違うのだと思うのです。洋皿は真ん中が少し凹んでいるけれど、日本の皿は、のっぺりとしていて緩やかに縁が立ち上がっているものが多い。ほんの僅かな違いだけれど、やっぱりこれが違和感の原因のように思う。テーブルウエアの図案のもとになった浮世絵や画帳が比較できるように展示されていたが、ここで面白いと感じたのは、鳥や動物の表情が微妙に違う。フランス人が図案化すると、なんとなくフランスっぽい目つきのものになっている。鶏が特に顕著で、目つきがどことなく高圧的で笑えました。

和皿にステーキとか、サラダって何の違和感もないですけど、洋皿に刺身って合わないように思うのはなぜなんでしょう?19世紀のフランス人。フォアグラのテリーヌを食べてソースの下から、ガチョウの絵が出てきたりしたら、どう思ったんだろうなあ~、と妙な想像をしてしまいました。
食器という日常のものに日本が描かれたというところがとても面白く感じられた展示でした。




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鑑賞日 2008年7月26日(土)
会 場 出光美術館
会 期 2008年6月14日(土)~8月17日(日)
入場料 一般1000円 高・大学生 700円
図 版 2500円 
出光美術館ホームページ http://www.idemitsu.co.jp/museum/


この美術館を訪れるたのは20数年ぶりだった。大学生の頃は、年に数回開かれる企画展を見るためによく訪れていた。皇居のお堀に面したラウンジで、無料の飲み物サービスがあり、展示を見た後に、のんびりできるところが非常に気に入っていた。

 今回、ルオーの代表作である連作油彩画「受難」と銅板画集「ミセレーレ」を中心に、日本初公開の作品を含む230点もの作品が展示されている。正に大回顧展にふさわしい内容である。ルオーの作品は非常に内省的なキリスト教的な主題が多いのだが、その表現は、なぜかあまり日本人にも違和感がない。今回多くの彼の作品を見ることによって感じたのは、表現に東洋的な香りがするということだ。太い輪郭線が描き出す人体のフォルムが、何かに似ていると思ったら、シルクロードの石窟寺院に描かれた壁画に似ていた。ルオーは、本格的に絵画の勉強をする前に、ステンドグラスの職人修行をしている。黒く太い輪郭線はステンドグラスの太い鉛枠を思い出させると同時に、素朴で力強い仏画と通ずる宗教心をも感じさせる。


出光コレクションは日本の書画・中国・東洋の陶磁器が中心なのだが、なぜか、いつも数点のルオーの作品が展示されていて、なんでルオーがここに?と不思議に思っていた。
なんと、出光美術館は400点以上もルオーの作品を所蔵し、その量と質は世界でも屈指のものなのだそうだ。なぜ、そのようなコレクションを出光美術館が持つにいたったかの経緯が会場に掲げられていた。(詳しくは展覧会のホームページをごらんいただきたい。)

日本はヨーロッパから見れば極東の地であるが、優れた西洋絵画コレクションがある。特に戦前に財を築いた人物達が、西洋絵画の収集にその富を多く投入したという歴史があるからだ。有名なコレクションでは、現国立西洋美術館の所蔵品の基礎となった松方コレクション、倉敷美術館の大原コレクション、ブリジストン美術館の石橋コレクションなどが挙げられる。印象派の画家と個人的交流を持った日本人も少なくない。
バブル期にはだぶついたお金で企業が絵を買いあさったので、玉石混交だったにせよ著名な作家の作品が日本国内にある。それらが鑑賞できる機会があるというのは非常にありがたい。秘蔵されてしまっているものも多いようだが、せっかく日本にあるのだから、たまには一般人にも公開して欲しいものだ。
日本に西洋絵画の名品が存在しているということを、当たり前のように思ってきたが、その裏には収集に力を尽くした人間がいるということなのだと、今回展示された作品を見終わって強く感じた。

展示を見終わって、ラウンジの椅子に座ってしばしの休憩を取った。四半世紀近くたって、また馴染みだった美術館を訪れることができた喜びをしみじみかみしめてしまった。
今でもやはり、無料で飲料のサービスは続けられていた。帝劇ビル9階という非常に利便の良い場所にあるので、一度行かれて見てはいかがだろうか。ゆったりとくつろげること請け合い。
鑑賞日 2008年6月15日(日) 
会 場 日本橋三越本店
会 期 2008年6月10日(火)~2008年6月22日(日)
    入場料 一般/大学生1200円 高・中校生700円

会社の同僚に招待券を譲ってもらった。「赤毛のアン」シリーズは中学・高校時代の私の愛読書だった。新潮文庫で出版されていたモンゴメリの作品はすべて読んでいる。日本アニメーション製作のアニメももちろん、リアルタイムで見ていたし、実写映画三部作も見ている。アンの最大の理解者マシュウ・カスバートは私の理想の男性像のひとつのタイプだった。マシュウおじさんが死んでしまう場面は何度読んでも泣けた。
 風変わりなアンをありのままに受け入れ愛するマシュウがいたから、アンはグリーンゲイブルズのアンになれたのだと思う。
 展示会場は昼過ぎということで、たくさんの人でにぎわっていた。いかにこの作品が広く愛されているかを物語るかのような人ごみ!でした。作品に登場する、犬の置物や、陶器のバスケット、当時の生活用品などがあって楽しい。翻訳者村岡花子さんの原作との出会いの物語も感動的だった。ファンだったら、絶対に楽しめる展示だと思う。
鑑賞日 2008年6月15日(日) 
会 場 東京都美術館
会 期 2008年4月25日(木)~2008年7月6日(日)
    入場料 一般1400円 学生1200円 高校生650円 65歳以上700円
図 版 2200円

1858年(安政5年)日仏修好通商条約が締結された。それから150年を記念して開かれた展覧会。19世紀に入り、近代化が進み、数度の万国博覧会を経て、パリは国際芸術都市として不動の地位を築く。1830年から1930年にいたる100年に焦点を当て、パリとはどんな都市だったのかを、絵画、彫刻、素描、版画、写真などから描こうとする、意欲的な展覧会。

とても意欲的な展覧会企画だと思うのだが、誰でも知っているような有名な目玉作品がないせいか、開館9時のところ、9時半に会場に入ったが、さほど混んでもおらず、ゆっくりと見ることができた。今回、非常に興味深かったのは、パリといえばエッフェル塔というくらい有名な、あの優美な鉄の塔がどのように作られたかを記録した写真と、19世紀から20世紀初頭の文学界の巨星たちの写真。そして、芸術界の人物相関図!ショパンの恋人として有名なジョルジュ・サンドは、美貌の女優とも恋愛関係にあったとか、ユトリロの母親でロートレックやルノワールのモデルを勤め、自らも画家となったシュザンヌ・ヴァランドンがエリック・サティの恋人だったとか、妙になまなましく感じてしまうような、展示パネルが面白い。アレクサンドル・デュマ、ボードレール、エミール・ゾラ、ジョルジュ・サンドなど、肖像画を見たことはあっても、写真はあまり見ることがなかったので、非常に新鮮だった。
 超有名作品はないけれど、巨匠たちの佳作や、興味深い作品がテーマに沿って集められていて楽しめる展覧会だと思う。
ギュスターヴ・モローの作品が6点きている。「デリラ」がとても印象深かった。
都美術館のあと広島と京都を巡回する予定。

 
鑑賞日 2008年6月8日(日)
会 場 Bunkamura ザ・ミュージアム
会 期 2008年5月17日(土)~2008年6月15日(日)
    入場料 大人1300円 高校大学生900円 中学生600円
図 版 2500円 

ピエール=ジョセフ・ルドゥーテの原画による多色刷り点刻銅版画(手彩色補助)フォリオ判169葉とアルフレッド・パーソンズのリトグラフ、二口善雄の水彩画、齋門富士夫の写真から構成される、すべてがバラの花に埋め尽くされた展覧会です。会場には、バラの香りが漂い、軽やかな音楽が流れています。
 18世紀は博物学の時代でした。自然界のあらゆるものを科学の目をもって解明していこうと、地質学、植物学、動物学などが発展した時代です。その機運に乗って、装飾画家として出発したピエール=ジョセフ・ルドゥーテは植物研究家レリティエに出会い、科学的正確さを求められる植物画家としての道を歩み始めます。
 植物学的な正確さのみならず、さまざまな薔薇の花がもつ個性と魅力を存分に描ききった作品は、見るものを惹きつけます。つやつやと光る葉の質感、幾重にも重なる花びらの薄さ、柔らかさまで写し取られ、つぼみや枝の表情はまさに「薔薇の肖像画」と呼ぶにふさわしいものです。
今回の展示では3人の画家の作品が並んだわけですが、同じ花を描いてもその味わいが違います。植物学的な正確さとは別の次元で、それぞれの画家が薔薇という対象物に向かい合い描き出したものは、まったく違う印象を与えるのです。
 ピエール=ジョセフ・ルドゥーテの作品は、薔薇が自ら彼を指名して自分の姿を描かせたのではないかという妄想を引き起こします。それほど、一枚一枚に描かれた薔薇の姿が個性的で魅力的で、雄弁です。薔薇の花が持つ魅力を画面に封じ込めた力量はすばらしいです。残された会期はわずかですが、薔薇好きの方には絶対お勧めの展覧会です。
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