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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2008年7月26日(土)
会 場 出光美術館
会 期 2008年6月14日(土)~8月17日(日)
入場料 一般1000円 高・大学生 700円
図 版 2500円 
出光美術館ホームページ http://www.idemitsu.co.jp/museum/


この美術館を訪れるたのは20数年ぶりだった。大学生の頃は、年に数回開かれる企画展を見るためによく訪れていた。皇居のお堀に面したラウンジで、無料の飲み物サービスがあり、展示を見た後に、のんびりできるところが非常に気に入っていた。

 今回、ルオーの代表作である連作油彩画「受難」と銅板画集「ミセレーレ」を中心に、日本初公開の作品を含む230点もの作品が展示されている。正に大回顧展にふさわしい内容である。ルオーの作品は非常に内省的なキリスト教的な主題が多いのだが、その表現は、なぜかあまり日本人にも違和感がない。今回多くの彼の作品を見ることによって感じたのは、表現に東洋的な香りがするということだ。太い輪郭線が描き出す人体のフォルムが、何かに似ていると思ったら、シルクロードの石窟寺院に描かれた壁画に似ていた。ルオーは、本格的に絵画の勉強をする前に、ステンドグラスの職人修行をしている。黒く太い輪郭線はステンドグラスの太い鉛枠を思い出させると同時に、素朴で力強い仏画と通ずる宗教心をも感じさせる。


出光コレクションは日本の書画・中国・東洋の陶磁器が中心なのだが、なぜか、いつも数点のルオーの作品が展示されていて、なんでルオーがここに?と不思議に思っていた。
なんと、出光美術館は400点以上もルオーの作品を所蔵し、その量と質は世界でも屈指のものなのだそうだ。なぜ、そのようなコレクションを出光美術館が持つにいたったかの経緯が会場に掲げられていた。(詳しくは展覧会のホームページをごらんいただきたい。)

日本はヨーロッパから見れば極東の地であるが、優れた西洋絵画コレクションがある。特に戦前に財を築いた人物達が、西洋絵画の収集にその富を多く投入したという歴史があるからだ。有名なコレクションでは、現国立西洋美術館の所蔵品の基礎となった松方コレクション、倉敷美術館の大原コレクション、ブリジストン美術館の石橋コレクションなどが挙げられる。印象派の画家と個人的交流を持った日本人も少なくない。
バブル期にはだぶついたお金で企業が絵を買いあさったので、玉石混交だったにせよ著名な作家の作品が日本国内にある。それらが鑑賞できる機会があるというのは非常にありがたい。秘蔵されてしまっているものも多いようだが、せっかく日本にあるのだから、たまには一般人にも公開して欲しいものだ。
日本に西洋絵画の名品が存在しているということを、当たり前のように思ってきたが、その裏には収集に力を尽くした人間がいるということなのだと、今回展示された作品を見終わって強く感じた。

展示を見終わって、ラウンジの椅子に座ってしばしの休憩を取った。四半世紀近くたって、また馴染みだった美術館を訪れることができた喜びをしみじみかみしめてしまった。
今でもやはり、無料で飲料のサービスは続けられていた。帝劇ビル9階という非常に利便の良い場所にあるので、一度行かれて見てはいかがだろうか。ゆったりとくつろげること請け合い。
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