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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2007年8月8日(水)
会 場 ホテルオークラ東京 アスコットホール
会 期 2007年8月1日(水)~8月24日(金)
入場料 1200円 
図 版 300円 (チャリティ・ブックレット)

併催美術展 
大倉集古館「大倉コレクションアジアへの憧憬(8月1日~9月30日)」
泉屋博古館分館「花鳥礼賛~日本・中国のかたちと心~(8月4日~9月24日)」

今年13回目を迎えるホテルオークラ東京のチャリティイベントです。企業や団体が所蔵する西洋絵画、日本画、洋画の秀品103点を集めた展覧会。会社の同僚のMさんから招待券を譲っていただいたので、都内に住む姉を誘って鑑賞しに行きました。
 入口を入ると、西洋絵画の部から展示が開始。19世紀から20世紀半ばまでの巨匠達の作品が並びます。さすがに代表作といわれるような作品はありませんが、小品ながらいかにもその画家らしい作品が続きます。西洋絵画の部で気に入ったのは、ルノワールの「タンホイザー」、ルドンの「黒い花瓶の花」、シャガールの「緑の太陽」、そして、マルグリットの「世紀の伝説」。日本画の部では鏑木清方の雨月物語「蛇性の婬」が圧巻でした。細密な描写にゾクゾクするような色香があふれていて、日本画のエロスを感じてしまいました。東山魁夷の「晴れゆく朝霧」も非常に美しかったです。一緒に行った小4の姪は上村淳之の「憩」が非常に気に入ったようでした。洋画の部では私の愛する熊谷守一の「猫」と「百日草」があり、嬉しかったです。平日の午後の為か、あまり込み合ってもおらず、ゆっくりと鑑賞できました。それにしても、企業や団体って美術作品を持っているんですねえ。
秘蔵してないで、どんどん、見せてくれると嬉しいなあ・・・。
 いただいた招待券で併催美術展も鑑賞できるということで、いってみました。大倉集古館は中国風の建物で、入口を入ると、なんとなく、抹香臭い匂いが・・・。仏像やら鏡やら古い中国の書籍やらがあって、ちょっと独特の雰囲気。昔歴史の教科書で見たことのあった「清明上河図」の本物がありました。仏像も中国とタイとインドでは、全然雰囲気が違うのですよね。インドの仏像はナイスバディです。
 地下鉄六本木一丁目の駅からエスカレーターを上り詰めたところにある泉屋博古館分館は、旧財閥・住友家の旧蔵品を蒐蔵、展示する京都の泉屋博古館の分館です。スウェーデン大使館のすぐ目の前というオタク心がちょっと疼いてしまうロケーションです。
「花鳥礼賛」というテーマだけに、美しい花鳥画ばかりが小ぶりの展示室2室に集められていました。ポスターにもなっていた若冲の「海棠目白図」、良かったです。おしくら饅頭状態の目白が可愛い~と姪も大喜び。精緻な描写は流石に若冲でした。江戸のモダンを感じますね。それから、伊年印の四季草花図屏風も良かったです。厳しい印象の漢画より柔らかい大和絵風の方が自分好みなんだと再認識してしまいました。
 ホテルオークラでお茶をしようかと提案しましたが、しまり屋の姉に却下され、地下鉄駅近くのPAULでお茶をしました。専業主婦はやっぱりしっかりしておりますわ。
 

 
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鑑賞日 2007年5月27日(日)
会 場 川越市立美術館
会 期 2007年4月21日(土)~6月17日(日)
入場料 500円 
図 版 2000円 

 午後から買い物がてらに娘とふらりと出かけてみました。チケット売り場で「2時から講演会がありますよ。講演会をお聞きになるなら400円になります。」といわれ、二つ返事で講演会を聞くことにしました。娘は講演会デビューです。講演者は栃木県立美術館時別研究員の小勝禮子さん。中3の娘が90分の講演を飽きずに聴けるか少し心配したのですが、杞憂でした。居眠りもせず、真剣に聞いていました。思わぬところで娘の成長を感じることができました。
 今回の展示は、栃木県立美術館が耐震補強工事の為1年間休館になるという機会を利用したもので、栃木県立美術館の所蔵作品のみによる展覧会です。ラファエロ前派のロセッティの「レディ・リリス」は前期のみの展示との事で見られませんでしたが、コロー、ターナー、ゲインズバラの油彩風景画などもありましたし、ワトー原画の銅版画やドラクロワ原画のリトグラフ、ドーミエ、ミュシャ、ビアズリーなど、良く聞く作家の作品を見ることができました。中心は版画や印刷物(新聞や本)でしたが、18世紀から19世紀に興味をひかれているので、講演会の内容もなかなか興味深く、有意義な午後を過ごすことができました。
今回、ギュスターブ・ドレの作品が全体の中では多く、なかなか見ごたえがありました。ミルトンの失楽園、ダンテの神曲、セルバンテスのドン・キホーテ、聖書などの挿絵はなかなかすばらしく、じっと見入ってしまいました。
 娘が美術に興味を持ってくれているので、親子で肩肘張らずに楽しむ展覧会としてはちょうど良いものだったと思います。難点は駅からちょっと遠いところに美術館があるという点でしょうか。駅前から市内の観光地を回るバスなども出ています。それを利用すると、美術館の前まで行くことができます。埼玉県にお住まいの方は川越観光がてらにお出かけになってみてはいかがでしょうか。
 
鑑賞日 2007年4月25日(水)
会 場 損保ジャパン東郷青児美術館
会 期 2007年4月21日(土)~7月1日(日)
入場料 1000円 
図 版 2000円 ブックレット500円子供用ブックレット300円

ぺルジーノはラファエロの師匠として有名だけれども、日本ではあまりその作品は知られていない。ラファエロは非常に野心的で才能に溢れた画家だし、確かにその作品はルネサンスの三大巨匠の一人だけなことはあると思う。しかし、私はその作品の美しさを認めつつも、どこか好きになれないところがある。ぺルジーノの作品をこの展覧会でまとめて見て、非常に私好みであることがわかりました。マリア様、はっきり言って美人じゃありません。ちょっと田舎臭い素朴なお顔立ち。しかしながら、その眼差しの素朴で静かな優しさがたまらなくいいです。他の聖人達も、決して美形じゃありません。でも、静かで穏やかで、儚げなんです。「甘美」まさしくこの言葉がぴったりです。清らかな甘さ。特に今回の展覧会で気に入ってしまったのは、ウフィツィ美術館所蔵の《少年の肖像》かつてはロレンツォ・ディ・クレディに帰属されていたものだが、近年ぺルジーノの作と考えられているらしい。茶色の上着を着た14歳ぐらいの少年の肖像なのだが、その前に立ったとたん、その眼差しに釘付けになってしまった。微かに憂いを含んだ茶色い大きな瞳がじっとこちらを見ている。柔らかな曲線を描く眉、軽く閉じられた形の良いピンク色のふっくらしたくちびる。真ん中で分けられ、肩のところで緩やかに巻き上がる金褐色の髪・・・。ああ、この少年の絵に出会えただけでも今日、この展覧会に来てよかった!!小雨が降っていたせいなのか、有名じゃないからなのか、美術館の中はガラガラ状態。舐めるように一点一点鑑賞することができました。
おすすめな展覧会です!
鑑賞日 2007年6月16日(土)
会 場 国立西洋美術館
会 期 2007年5月29日(火)~8月26日(日)
入場料 1400円 (前売1200円)
図 版 事前宣伝ブックレット 300円 (お買い得品かも)
    2500円
講演会 4回あり 要申し込み
公式HP http://www.parma2007.jp

イタリア北中部の都市パルマに花開いたルネッサンスからバロック期の絵画・素描約100点。実はダヴィッドはパルマの大聖堂でその美しさに
度肝を抜かれ、涙したとか。

真夏を思わせる日差しが朝から照りつける中、行ってまいりました。
さほど有名な画家の作品も無いので、開館10分前に到着するように家を出ました。私の前に並んでいたのは30人ほど。この人数、多いと見るべきか、少ないと見るべきか・・・。入館し、先に入場した人たちでいっぱいの第1室を素通りし、第2室へ。今回の展覧会の目玉として遇されているパルミジャニーノ作「ルクレチア」とコレッジオ作「幼児キリストを礼拝する聖母」をじっくり鑑賞。そして、第3・4室をとばして第5室へ向かう。当然、他の客は誰もまだそこまで到達していない。今回とても気になっていたバルトロメオ・スケドーニ作「キリストの墓の前のマリアたち」の前に立った。スケドーニは、パルマ展のブックレットで初めてその存在を知った画家なのだが、この作品の画面構成と鮮やかな色彩感覚に非常にショックを受けた。1613年に描かれたこの絵は、とてもモダンな印象で、現代作家が描いたといっても通じるぐらいの感覚だと思う。イエスの墓の石棺に腰かける天使の白い衣、三人のマリアのそれぞれの黄色と緑と赤の衣の鮮やかさに目が釘付けでした。ほかに数点の油彩画と素描が出展されていましたが、どれも非常に魅力的でした。貸切状態でスケドーニを堪能した後、ゆっくりその外の作品を戻りながら鑑賞。半分までは本当に貸切!!開館と同時に入場するメリットはこれなんですよね~♪

パルミジャニーノ作「ルクレチア」はさすがにすごかったです。若桑みどりさんが画家の技術を講演会で絶賛していましたけれど、確かになるほどと唸らされる。髪の描写なんて、最高に上手い。細い金髪の一筋一筋までそこにあるようだし、編まれた金髪はそのほつれ具合まで真にせまっている。肌の色合いといい衣の質感といい、描写の技術のなんとすばらしい事!!でも・・・、残念ながら私好みじゃないんです。

一方、コレッジオ作「幼児キリストを礼拝する聖母」はもろ私好み♪さほど大きな作品では無いけれど、存在感のある作品。何より廃墟の階段にイエスを寝かせ、礼拝をするマリア様のお顔の優しさ、甘さ、美しさ!!胸の前に広げられた両手の清らかさ、繊細さはもう、もろに私のツボど真ん中です。イエスの目つきが微妙に悪いのはなぜなんだろうという疑問はさておき、レオナルド・ダ・ヴィンチばりのスフマート技法による柔らかい顔の描写や背景は美しい~♪眼福、眼福!コレッジオはいいなあ~。

その外の作品は、まずまずと言ったところ。パルマの支配者ファルネーゼ家の肖像を集めた部屋はなかなか興味深かったなあ。第一室の彩色本も良かった。羊皮紙の質感を実感できたのが収穫。後は突っ込みどころ満載の16~17世紀のファッションが面白い。大きな襞襟やちょうちんブルマー。真っ赤なタイツ。これが流行の最先端だった当時って・・・。絵は色々な見方ができるから好き♪

とにかく有名な絵が見たいという人にはお勧めはしません。ちょと、マニアックな傾向にある人が行くと、すごく楽しいかも知れない展覧会でした。

ちなみに、私は大満足でした。





 
鑑賞日 2007年6月3日(日)
会 期 2007年4月7日(土)~7月2日(月)
会 場 新国立美術館
入場料 1500円 (前売1200円)
図 版 2300円
公式HP http://monet2007.jp

モネの名品を一堂に集めた大回顧展。新国立美術館にも興味深深♪

行って参りました!新国立美術館は初めてです。原宿駅で地下鉄に乗り換えて乃木坂駅下車。駅から直接美術館の前までいけます。ど~んと立派な建物です。真新しい建物はやはり気持ちいいですが、公共の建物は、ずっとメンテナンスをして使用することになるので、新しい試みを取り入れている場合、そのメンテナンスのコストはどうなのだろう?と変なところに興味がいってしまいます。都庁舎はいま大変なことになっているらしいです。メンテナンスにコストがかかりすぎて、きちんとメンテナンスができていないらしいです・・・。総合的に長い目で考えられないといけないような気がします。まあ、美術展とは関係ありませんが。

 さて、「大回顧展」と銘打つだけあって、モネ・モネ・モネ・・・・モネの作品ばかりこれでもか!というほど見られます。モネがお好きな方なら、絶対見に行くべきです。ただし、できるだけ平日のすいている時間を見計らいましょう。
 今日は日曜日、作品より人の頭を見ていた時間が長かった気がします。ビックリしたのは、入場者の幅広さです。乳・幼児から車椅子のご老人までありとあらゆる年齢の人、そして、いかにものブランド服をお召しの方から、本当にふらっと普段着できました、といった方まで、本当にごちゃ混ぜでした。汽車の絵の前で、「汽車ポッポだよ~」と3歳ぐらいの子供を抱き上げて見せているお父さんがいたり、展示室内の休憩用の椅子に座って、赤ん坊にカタカタなる小さなおもちゃを見せてあやしているお爺さんがいたり・・・。しみじみ思いました。印象派の展覧会だ~って。
 モネは印象派の作家の中でもダントツに人気も実力もある人です。長寿だったし、精力的に制作した人だから作品数も多い。何より、日本にも沢山作品がある。カレンダーやTVコマーシャルなどでも使われる事も多いので、なんらかしらの形でその作品を目にしていることがおおいと思われます。その為なんでしょうけれど、「これ見たことある~」なんて声があちこちで聞こえました。
 モネの絵は考える必要がありません。感じればいいのです。モネの絵は空気と光と水でできています。日本人が心地よく見られる絵です。そもそも、19世紀ヨーロッパでジャポニズムが大流行。日本の浮世絵などがもてはやされ、浮世絵独特の空間認識や、平面構成などが、この時代の画家達に多かれ少なかれ影響を与えています。モネもルノワールも打ちかけ着せた奥さんの絵を描いているんですよ。金髪女性が打掛け羽織って扇子もって見返り美人のコスプレしてるんです。面白いですよ。印象派はジャポニズムの影響を大きく受けています。ヨーロッパに渡った日本の絵画は、浮世絵や掛け軸、屏風などが中心だったのだと思いますが、これらは純粋に目で楽しむものですよね。近代市民社会が成立して、絵画が普通の人(それでも、やはりブルジョワジーということですが)が楽しむものになって、宗教画や歴史画のように、なんらかしらのメッセージを伝える手段ではなくなり、お部屋のインテリアとして見て気持ちいいということが、とても重要になったのではないかと思います。モネの絵は気持ちいいです。家族連れで見に行きたくなる絵です。

 今回の展示で一番気に入ったのはテムズ川のチャリング・クロス橋の連作です。藤色の朝もやのなか夜が明けていく光景を、時間の経過によって変わる表情を切り取り写した様な作品。モネが始めた連作という制作スタイルは、季節の移ろいや刻々と変わる光の表情に、もともと強い感受性がある日本人にはたまらない魅力があると思います。積み藁やポプラ並木の連作も良かったですよ。
 モネは80歳を過ぎても精力的に作品を描き続けています。今回の展示の最終室は晩年の作品が集まっています。題材は睡蓮と庭なのですが、この部屋だけ、妙に空いているのです。それはなぜか?皆、近くで絵を見ているからなんです。モネの晩年の絵は、できるだけ離れて見なければいけません。近くで見るとまるで色を塗りたくっただけの抽象画のようです。だから、近くで絵を見ている人はつまらなくて、あんまりじっくり見ないでいなくなっちゃうんです。この部屋の作品は皆、どんどん後ろに下がっていくと、ある地点で、鮮やかに映像が浮かび上がってくるのです。もし、これから行かれるのであれば、最終室で試して見てください。例えは、「黄色いアイリス」この絵の前に立ったら、人にぶつからないように後ろに後ろに下がっていってみてください。きっと、ビックリしますよ。他の絵もお試しあれ!「ばらの小径」が劇的でした。睡蓮の絵もできるだけ離れて見ましょう。本当に揺れる水面に睡蓮が浮いているように見えます。美術展で本物を見る楽しさは、こんなところにもあります。やっぱり本物を堪能するためには、労力をかけなければいけません。

じつは、買ってあった前売りチケットを持っていくのを忘れ、正規の値段でチケットを買いなおすハメに。これはもう一度見に行けという天啓かも知れません。会期は7月までありますから、また行きたいと思います。

なんだかんだいっても、印象派は気持ちいい~♪
 



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