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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2008年2月9日(土) 
会 場 サントリー美術館
会 期 2008年1月26日(土)~2008年3月9日(日)
    入場料 大人1300円 学生(高校生・大学生)1000円
図 版 2300円 


アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは19世紀末を代表する画家の一人です。彼の名前は、モンマルトル、ムーランルージュ、キャバレーなどといった世紀末パリを強く感じさせる言葉と同時に思い出されるでしょう。
若い時はあまり彼の絵を好きだと思えませんでした。彼が描く人物像があまりに個性的で、生々しく感じたからだと思います。今回の展覧会は、彼がパリで活躍した1800年代最後の10年間を中心とした作品で構成されています。誰もが知っている有名なムーラン・ルージュのポスターや鍔広帽子に赤いマフラーを巻いたアリステッド・ブリュアンのポスターは、もちろんのこと、劇場のプログラム、リトグラフ、ロートレックが寄稿した雑誌など、非常に見ごたえのあるものでした。私が年を取ったせいなのかも知れませんが、思った以上に彼の作品に親しみを感じました。彼の鋭い観察眼に切り取られた一瞬を理解し、味わえるだけの大人になったということなのでしょうか。

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鑑賞日 2008年2月2日(土)
会 場 大日本印刷本社内 ルーブルDNPミュージアムラボ
会 期 2007年10月27日(土)~2008年3月1日(土)
    観覧無料 完全予約制http://museumlab.jp 


ルーブルDNPミュージアムラボはルーブル美術館と大日本印刷の共同プロジェクト。大日本印刷が持つ技術を駆使して、ルーブル美術館から貸し出された3点の作品を多角的に鑑賞できるような新しい形の体験プログラムです。今回の作品は第3回展ということで、ティツイアーノの名品、日本初公開の《聖母子と聖カタリナと羊飼い》通称《うさぎの聖母》の展示です。大規模な展覧会では、なかなかじっくりとひとつの作品を見るというのは難しいものです。今回は展示は1点のみですが、ルーブル美術館の館長による解説つきで、更に、画家の生涯や画面の構図分析などをコンピューターを使って実際に体験できてとても面白かったです。完全予約のため、作品を独り占め状態でじっくり鑑賞できます。解説プログラムを体験したあと、また作品の前に戻って見直すと新たな発見があったりします。
小さなお子さんをつれてきているお母様グループと一緒でしたが、鑑賞者数が限定されているので、ゆったりした気分で見られました。
この体験が無料というのは驚きです。
昨年BUNKAMURAザ・ミュージアムで《サロメ》を、今回《うさぎの聖母》をみて、この春西洋美術館では《ウルビーノのヴィーナス》を見ることとなります。ティツイアーノはとても好きな画家の一人です。ベネチア派は色彩重視でデッサンが今ひとつといわれてしまうのですが、ティツイアーノは別格でデッサンも上手いです。何より、女性像の柔らかな美しさは、たまりません。会期は3月1日まで。興味のある方は、予約していかれてみてはいかがでしょうか?
鑑賞日 2008年1月26日(土)
会 場 東京国立博物館 平成館
会 期 2008年1月2日(水)~2008年2月24日(日)
    入場料 大人1400円 高校大学生 900円 
図 版 2400円 

 国文学・日本史・書・茶の湯等などに興味があるなら、この展覧会はぜひ見に行くべきだと思う。国宝と重要文化財と重要美術品がこれでもか!っと言うほど並んでいます。まさに教科書で見たことがある、聞いたことがある名品ばかり。これが全て近衛家所縁の品々だというのだから、もう、恐れ入るしかない。一時間ほどで見終わると思ったけれど、1時間半以上かかってしまった。興味があり、物の価値がわかる人であれば、一日中見ていても飽きないのではないだろうか。
 日本の貴族と欧米の貴族は本質的に違う。日本の貴族は血の伝承が問題になる。天皇家を見てもわかるとおり、厳密に科学的に言ってどうかはわからないが、とにかく、万世一系、つまり同じ血を持つ一族がその名を伝え、その身分を持つ。欧米の貴族は違う。わかりやすい例を挙げよう。ポンパドール侯爵夫人はもともと平民の出身だった。ルイ15世の寵姫となるために、ポンパドール侯爵領をルイ15世が買って彼女に与え、彼女自身をポンパドール女侯爵にしたのだ。ヨーロッパの貴族は血筋ではなく、領地が問題になる。日本では領地のない貴族がいてもおかしくないが、ヨーロッパでは領地がない高級貴族なんてありえなかったのではないだろうか。もっとも、フランスもイギリスも他の国も、○○朝、○○朝という言い方がされるが、要するに、血筋が変っているということなんだろう。
 ともあれ、親から財産といえるようなものを体以外受け継いだわけじゃない両親の子に生まれ、これまた、家にあったものをとりあえず寄せ集めて、ほとんど何も持たないところから結婚生活を始めた、全くの庶民階層の目から見れば全く持って、こりゃあすごいとしかいいようがない。
 天皇との書簡や、名筆を集めた手鑑はわかる。宝物だから。そういったものに混じって、300年も前の当主が子供時代に描いた絵や書が残っているのがすごい。たくさんのものを維持管理するだけでも多大な労力と財力が必要だろう。何より、そういった文物の価値がわかる人間であらねばならない重圧はいかばかりか。物を買い集めることは実はとても簡単なのだと思う。むしろ難しいのは、価値あるものを、見極め、楽しみつつ維持管理し、後世に伝えることだと思う。
 今回展示されたものは、近衛家の財のほんの一部なのだろう。身分制もなくなり、自力でこういった文物を維持管理するのは、いかに近衛家でも大変なのではないだろうか。下世話な話だが、個人の財である限り、海外流出に歯止めをかけることは難しいだろう。事実、たくさんの名品が海外に流出している事実がある。そういったものが、海外で日本文化のすばらしさを伝えてくれる側面もあるだろうが、やはり、日本人が日本の美しいもの、すばらしいものを目にすることが出来なくなるのは非常に惜しいと思う。
 会期はまだ1月ある。小中学生の入場料は無料。ぜひ親子で見に行かれてはいかがだろうか。日本の歴史に興味を持たせる一つのきっかけになるかも知れない。
 
鑑賞日 2008年1月2日(水)
会 場 Bunkamura ザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html
会 期 2007年12月1日(土)~2008年1月20日(日)
    郡山展 2008年2月 2日(土)-3月23日(日) 郡山市立美術館
    松本展 2008年4月 8日(火)-5月18日(日) 松本市美術館
    京都展 2008年5月 24日(土)-6月22日(日) 美術館「えき」KYOTO
入場料 大人1300円 高校大学生 900円 中学生600円
図 版 2500円 

2008年初美術展鑑賞。昨年秋にBunkamura ザ・ミュージアムで「ヴェネチア絵画のきらめき展」を鑑賞した際に、次回展覧会予告のチラシをもらった 。それが今回の「アンカー展」である。黒い背景に細かいチェックのスモックを着た金髪の少女が2匹の子猫を抱いている愛らしい絵が刷られていた。聞いた事の無い名だったのだが、娘がチラシの絵を見て、ぜひ見たいと強く希望したので、それでは、とたいした期待もなく前売りチケットを購入した。
正直言って、びっくりするほど私好みの絵だった。静謐で清潔感に溢れ、非常に端正な作風に、期待せずにいったはずの私はその世界に魅了されたっぷり1時間以上も見てしまった。
アルベール・アンカー(1831-1910)は、スイスの中央部のインス村(ドイツ語名/フランス語ではアネ)出身の、19世紀のスイス画家で、今も国民的画家として衰えぬ人気を誇っているという。しかし、日本ではほとんど彼の名は知られていない。今回ベルン美術館の協力を得て、日本で初めて本格的にその画業を紹介する回顧展だと言うのだから、無理もない。油彩を中心に素描も含めた100余点の作品が出展されている。
アンカーの絵を見て、懐かしさを感じない人はいないと思う。彼はインス村の子供や老人たちの日常を愛情深く描いている。子供たちの愛らしさと真摯さ、老人たちの子供たちに向ける慈愛のまなざしは、時代や場所を越えて人間の持っている豊かな愛情を的確に表わしている。19世紀産業革命に伴いフランスの多くの芸術家たちは新しい表現方法を求めていた。モネ、マネ、ルノワールら同時代人が切り開いていった新しい方向性から見れば、アンカーは保守的で伝統的にも見える。しかし、アンカーが描きたかっただろうテーマはゆるぎないもので、彼の的確なデッサン力と詩情溢れる色彩感覚に裏打ちされて、これからもその魅力が色あせることは無いだろう。
 日本では紹介されていないすばらしい作品が、まだたくさんあるのだと実感した展覧会だった。もっとアンテナを高くしないといけない。今回は、一枚のチラシから鋭くその魅力を嗅ぎつけた娘の嗅覚に脱帽である。お礼の気持ちを込めて、売店で買ったスイスのキャンデイを彼女には進呈した。


鑑賞日 2007年11月18日(日)
会 場 サントリー美術館 
会 期 2007年11月3日(土)~12月16日(日)
入場料 一般1300円、学生(高校生・大学生)1000円
図 版 2300円(エコバック付)

 12世紀に日本はすでにマンガ大国だったのかも知れない。平安時代に絵巻がたくさん作られた。『源氏物語絵巻』『信貴山縁起絵巻』『伴大納言絵巻』そして『鳥獣人物戯画絵巻』、これらは四大絵巻と呼ばれている。
 もともと絵巻は中国の画巻が起源であるが、最初の絵巻は奈良時代の『絵因果経』だといわれている。平安朝時代の国風化の中で物語・説話などを題材に独自の発達を遂げてきた。詞書と対応する場面の絵で構成される絵巻は、当時の人々の生活を現代人に教えてくれるとともに、絵と物語を同時に鑑賞するスタイルが、古くから延々と受け継がれた日本人の特徴的な楽しみ方である事を示している。
 『鳥獣人物戯画』には詞書がない。もともとなかったのか、それとも、途中で失われてしまったのか、はっきりしたことはわかっていない。詞書はないが、この絵巻は絵そのものが非常に雄弁で、文句なく楽しめる。おそらく、私が言うもでもなく、蛙や猿、兎や狐が繰り広げる人間くさい活劇を誰もが目にした事があるだろう。
 今回の展覧会はなんと、『鳥獣人物戯画』4巻が揃っているだけでなく、住吉家伝来の模本と長尾家旧蔵の模本、断簡4点がそろえられている。一時に見られるチャンスはそうは無い。そのほか、鳥獣戯画を生み出した背景として、同時代の年中行事絵巻(模本)や白描(墨の線描画のことをいう)の仏画、ユーモアあふれる物語絵巻などが展示され、『鳥獣人物戯画』を立体的に楽しませてくれる。
 日曜日ということもあり、かなりの混雑だった。絵巻物はタブローのように壁に掛けるわけに行かないからだ。壁際に張り付いて列に並び、よちよちと歩いていくしかない。点数が多いわけではないので、気長に流されていけば、鑑賞は出来る。
 それにしても、筆の線というのは味わいがある。緩急をつけた線だけで、動物の柔らかな体や、毛皮や皮膚の質感まで感じさせる。ほんの僅かの線や点が、動物たちの生き生きとした表情を生み出している。線描の表現力の奥深さを改めて感じることができた。
 もうひとつ、展示作品で日本人のおおらかさを感じるものが2点あった。思わず、にやりとしてしまうものだ。まったくもう。笑うしかありません・・・。
 六本木ミッドタウン内ですから、買い物ついでに立ち寄られてはいかがでしょうか。
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