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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2008年1月26日(土)
会 場 東京国立博物館 平成館
会 期 2008年1月2日(水)~2008年2月24日(日)
    入場料 大人1400円 高校大学生 900円 
図 版 2400円 

 国文学・日本史・書・茶の湯等などに興味があるなら、この展覧会はぜひ見に行くべきだと思う。国宝と重要文化財と重要美術品がこれでもか!っと言うほど並んでいます。まさに教科書で見たことがある、聞いたことがある名品ばかり。これが全て近衛家所縁の品々だというのだから、もう、恐れ入るしかない。一時間ほどで見終わると思ったけれど、1時間半以上かかってしまった。興味があり、物の価値がわかる人であれば、一日中見ていても飽きないのではないだろうか。
 日本の貴族と欧米の貴族は本質的に違う。日本の貴族は血の伝承が問題になる。天皇家を見てもわかるとおり、厳密に科学的に言ってどうかはわからないが、とにかく、万世一系、つまり同じ血を持つ一族がその名を伝え、その身分を持つ。欧米の貴族は違う。わかりやすい例を挙げよう。ポンパドール侯爵夫人はもともと平民の出身だった。ルイ15世の寵姫となるために、ポンパドール侯爵領をルイ15世が買って彼女に与え、彼女自身をポンパドール女侯爵にしたのだ。ヨーロッパの貴族は血筋ではなく、領地が問題になる。日本では領地のない貴族がいてもおかしくないが、ヨーロッパでは領地がない高級貴族なんてありえなかったのではないだろうか。もっとも、フランスもイギリスも他の国も、○○朝、○○朝という言い方がされるが、要するに、血筋が変っているということなんだろう。
 ともあれ、親から財産といえるようなものを体以外受け継いだわけじゃない両親の子に生まれ、これまた、家にあったものをとりあえず寄せ集めて、ほとんど何も持たないところから結婚生活を始めた、全くの庶民階層の目から見れば全く持って、こりゃあすごいとしかいいようがない。
 天皇との書簡や、名筆を集めた手鑑はわかる。宝物だから。そういったものに混じって、300年も前の当主が子供時代に描いた絵や書が残っているのがすごい。たくさんのものを維持管理するだけでも多大な労力と財力が必要だろう。何より、そういった文物の価値がわかる人間であらねばならない重圧はいかばかりか。物を買い集めることは実はとても簡単なのだと思う。むしろ難しいのは、価値あるものを、見極め、楽しみつつ維持管理し、後世に伝えることだと思う。
 今回展示されたものは、近衛家の財のほんの一部なのだろう。身分制もなくなり、自力でこういった文物を維持管理するのは、いかに近衛家でも大変なのではないだろうか。下世話な話だが、個人の財である限り、海外流出に歯止めをかけることは難しいだろう。事実、たくさんの名品が海外に流出している事実がある。そういったものが、海外で日本文化のすばらしさを伝えてくれる側面もあるだろうが、やはり、日本人が日本の美しいもの、すばらしいものを目にすることが出来なくなるのは非常に惜しいと思う。
 会期はまだ1月ある。小中学生の入場料は無料。ぜひ親子で見に行かれてはいかがだろうか。日本の歴史に興味を持たせる一つのきっかけになるかも知れない。
 
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