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DNAの展覧会鑑賞記録帳
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鑑賞日 2007年11月11日(日)
会 場 国立新美術館 
会 期 2007年9月26日(水~12月17日(月)
入場料 一般1500円 大学1200円 高校800円
図 版 2300円

 ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer, 1632年10月31日-1675年12月15日)は、レンブラントと並び17世紀のオランダ美術を代表する画家である。非常に寡作な画家で、現存する作品は僅かに三十数点のみである。なかでも、今回出品されている「牛乳を注ぐ女」は彼の代表作のひとつ。
 展覧会の公式ホームページで混雑状況の傾向案内があり、多少鑑賞しやすい時間ということで、午後4時到着予定で娘と家を出た。思いの他乗り換えが順調いったので、3時半に到着してしまった。会場は入場制限もなく、人の流れに乗っていけば、とりあえず作品が鑑賞できるといった込み具合。フェルメールの代表作の日本初公開という事で、美術館側も対策を考えたのだと思う。「牛乳を注ぐ女」一点の展示に一室を充て、その部屋の前の部屋に絵の解説ボードやビデオ上映モニターを設置し、観客の流れが緩やかになるように工夫されていた。
 風俗画展ということで、画題は人々の生活の場面ばかり。17世紀初頭から19世紀までの人々の暮らしを覗き見ているような楽しさがあった。

フェルメールの「青」は特別な青。ウルトラマリンという顔料が使われている。ウルトラマリンと言うのは、ラピスラズリという貴石から作られる。原料の鉱物が限られた場所からしか産出されないこと(ヨーロッパではアフガニスタン産が使われた)や、鉱物を顔料として精製するのに技術と手間が必要なことから、当時は金以上の価値があったという。ウルトラマリンをこよなく愛した画家として、イタリア・ルネサンス時代のフラ・アンジェリコがいる。この画家の青が天上の青だとすれば、フェルメールの青は地上の青といえるだろう。天上の清らかな世界を「青」で表わしたフラ・アンジェリコに対し、フェルメールは、何の気負いも変哲もない日常の一瞬に、人の営みの永遠性を青によって封じこめたように感じる。厚みのある若い女性の体を包む黄色の上着、広い額を出して、頭を覆う白い頭巾の色はやわらかいのにとても鮮やかで心地よい。ずっと見ていたくて絵の前に出来た行列に3度も並びなおしてしまった。娘も同じ気持ちだったのだろう。文句も言わず一緒に列に並んだ。良い作品はいつまでもその前にたたずんでいたいと思わせる「何か」を持っている。フェルメールの所有者が絵をなかなか世に出してくれない理由がわかる気がする。片時でも作品を手放したくないのだとおもう。形あるものはいつかは失われる。
でも、一瞬の邂逅が永遠にも思える作品なら、多くの人に永遠を感じさせることが出来るなら、それはとても幸せな作品と言えるのでは無いだろうか。
「牛乳を注ぐ女」の部屋を再現したものや、17世紀当時の古楽器、銀の燭台や平鉢、デルフト焼きの皿やガラスのグラスなどの展示があり、工芸品好きの私としては、いろいろ楽しむ事ができた。
 会期はまだあるので、ぜひ足を運んで見てください!
 
 
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