DNAの展覧会鑑賞記録帳
鑑賞日 2007年11月4日(日)
会 場 埼玉県立近美術館 京浜東北線
北浦和駅下車 西口徒歩3分 北浦和公園内
会 期 2007年10月27日(土)~12月16日(日)
入場料 一般1100円 学生700円
図 版 2300円
埼玉県立近代美術館にはちょっと懐かしい思い出がある。学生時代に博物館学芸員の資格の取得のための実習を、ここで行ったからだ。まだ開館したてのころで、建物はぴかぴかだった。本当に久しぶりに行ってみると、実にいい具合の古び方をしていた。新築の建物というのもいいが、人間が行きかうことで、建物が人間の精気を吸って人間になじんだ頃合というのも、また味がある。そう思うのは、自分が年をとったせいかとも思うが・・・。
今日は天気もよく、秋の深まりを感じさせる北浦和公園の木々のたたずまいも美しく、まことに「芸術鑑賞の秋!」といった風情で、入る前から気分が盛り上がる。
今回の展覧会は「田園賛歌」と題されているとおり、農村の風景と農作業を主題にした近代絵画が集められている。ジャン=フランソワ・ミレーの「落穂拾い(山梨県立美術館蔵)」クロード・モネ「ジヴェルニーの積みわら・夕日(埼玉県立近代美術館蔵)」を始め、ピサロ、シスレー、ゴッホ、ゴーガン、セザンヌ、ヴラマンクなどフランス近代絵画の巨匠たちの作品はなかなか見ごたえがある。さらに、日本の洋画家、日本画家による、日本の農村風景を描いた作品、ポスターや写真に表現された田園風景と本当に盛りだくさんの展示だった。
都内の美術館と違い、近所にすむ人々が気楽に見に来ているという空気が展示会場の中に漂っているのが、なんともくつろいだ気分にさせてくれる。今回の展示で注目すべきは、展示作品が日本全国の美術館から広く集められていることだ。各地に公設美術館が雨後の筍のごとく作られたのはちょうどバブルのころだった。開館の目玉に有名作品を購入し、その度話題になった。今回出品されているミレーの「落穂拾い」も山梨県立美術館開館の「目玉作品」として購入されたものだ。そのときのTVニュースを今も覚えている。物見高い人々は、その一枚を見るために、バスを仕立てて山梨まで出かけていったのだ。日本人は有名作品に弱い。だが、有名作品が一点だけでは一時はいいが、何度もリピーターを呼ぶことは難しい。各地の美術館はそれぞれの特徴を何とか形作ろうと乏しい予算をやりくりしながら作品を集めて行ったのだろう。20年、30年という時間をかけて、味のあるコレクションが各地の美術館に蓄積されつつあるのだと思う。
美術館が独立法人化し、それぞれが独自に経営について責任を持つようになって、美術館どうしの連携が進められていることを感じる。
日本人の暮らしが豊かになり、絵画や音楽を楽しむことが日常の楽しみとなった。最近は肩肘を張っての鑑賞ではなく、自然にそれぞれの感性にしたがって楽しめるようになってきているように思う。美術館がその地域の憩いの場として根付いてきていることを、強く感じた展覧会だった。
今回も娘と一緒に出かけたのだが、娘はアルフォンス・ミュシャのポスターの実物にいたく感激していた。私は、ミレーの「落穂拾い」もよかったけれど、ピサロの作品に心惹かれた。明るく暖かな日差しを感じさせる画面はとても豊かな気分にしてくれた。
芸術鑑賞で目を楽しませた後は、舌とお腹も楽しませようと、美術館内にあるイタリア料理店「ペペロネ」へ。私はトリコロールコース2500円を、娘はランチパスタ1000円をオーダーして二人でシェアしたのだが、なかなかの味とボリュームで大満足。玉葱入りフォッカチャは焼立てでもっちりふかふか。思わずお土産に買ってしまった。手も気もかかる兄の影で、なかなか向き合えない娘と出かける美術鑑賞は、私にとって、非常に楽しい時間である。中学生までは入場料が無料!この特典が使えるのもあとわずか。出来るだけたくさんの展覧会につれていってやりたいと思っている。
会 場 埼玉県立近美術館 京浜東北線
北浦和駅下車 西口徒歩3分 北浦和公園内
会 期 2007年10月27日(土)~12月16日(日)
入場料 一般1100円 学生700円
図 版 2300円
埼玉県立近代美術館にはちょっと懐かしい思い出がある。学生時代に博物館学芸員の資格の取得のための実習を、ここで行ったからだ。まだ開館したてのころで、建物はぴかぴかだった。本当に久しぶりに行ってみると、実にいい具合の古び方をしていた。新築の建物というのもいいが、人間が行きかうことで、建物が人間の精気を吸って人間になじんだ頃合というのも、また味がある。そう思うのは、自分が年をとったせいかとも思うが・・・。
今日は天気もよく、秋の深まりを感じさせる北浦和公園の木々のたたずまいも美しく、まことに「芸術鑑賞の秋!」といった風情で、入る前から気分が盛り上がる。
今回の展覧会は「田園賛歌」と題されているとおり、農村の風景と農作業を主題にした近代絵画が集められている。ジャン=フランソワ・ミレーの「落穂拾い(山梨県立美術館蔵)」クロード・モネ「ジヴェルニーの積みわら・夕日(埼玉県立近代美術館蔵)」を始め、ピサロ、シスレー、ゴッホ、ゴーガン、セザンヌ、ヴラマンクなどフランス近代絵画の巨匠たちの作品はなかなか見ごたえがある。さらに、日本の洋画家、日本画家による、日本の農村風景を描いた作品、ポスターや写真に表現された田園風景と本当に盛りだくさんの展示だった。
都内の美術館と違い、近所にすむ人々が気楽に見に来ているという空気が展示会場の中に漂っているのが、なんともくつろいだ気分にさせてくれる。今回の展示で注目すべきは、展示作品が日本全国の美術館から広く集められていることだ。各地に公設美術館が雨後の筍のごとく作られたのはちょうどバブルのころだった。開館の目玉に有名作品を購入し、その度話題になった。今回出品されているミレーの「落穂拾い」も山梨県立美術館開館の「目玉作品」として購入されたものだ。そのときのTVニュースを今も覚えている。物見高い人々は、その一枚を見るために、バスを仕立てて山梨まで出かけていったのだ。日本人は有名作品に弱い。だが、有名作品が一点だけでは一時はいいが、何度もリピーターを呼ぶことは難しい。各地の美術館はそれぞれの特徴を何とか形作ろうと乏しい予算をやりくりしながら作品を集めて行ったのだろう。20年、30年という時間をかけて、味のあるコレクションが各地の美術館に蓄積されつつあるのだと思う。
美術館が独立法人化し、それぞれが独自に経営について責任を持つようになって、美術館どうしの連携が進められていることを感じる。
日本人の暮らしが豊かになり、絵画や音楽を楽しむことが日常の楽しみとなった。最近は肩肘を張っての鑑賞ではなく、自然にそれぞれの感性にしたがって楽しめるようになってきているように思う。美術館がその地域の憩いの場として根付いてきていることを、強く感じた展覧会だった。
今回も娘と一緒に出かけたのだが、娘はアルフォンス・ミュシャのポスターの実物にいたく感激していた。私は、ミレーの「落穂拾い」もよかったけれど、ピサロの作品に心惹かれた。明るく暖かな日差しを感じさせる画面はとても豊かな気分にしてくれた。
芸術鑑賞で目を楽しませた後は、舌とお腹も楽しませようと、美術館内にあるイタリア料理店「ペペロネ」へ。私はトリコロールコース2500円を、娘はランチパスタ1000円をオーダーして二人でシェアしたのだが、なかなかの味とボリュームで大満足。玉葱入りフォッカチャは焼立てでもっちりふかふか。思わずお土産に買ってしまった。手も気もかかる兄の影で、なかなか向き合えない娘と出かける美術鑑賞は、私にとって、非常に楽しい時間である。中学生までは入場料が無料!この特典が使えるのもあとわずか。出来るだけたくさんの展覧会につれていってやりたいと思っている。
PR
この記事にコメントする